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[高1]「総合的探究」集中学習を実施しました。

本校では、2022年度高校1年生より「総合的な探究の時間」の取り組みを本格的に開始しています。

11月14日(月)には、
・探究的な態度を養うことが、どのように実生活を豊かにするか考えること、
・大学教員/研究者として活躍する先生から講義を受け、進路意識を高めること
を目標に、午後2コマ分の時間を使用して集中学習の機会を持ちました。


当日は慶應義塾大学/上智大学/東京都市大学より講師の先生をお迎えし、生徒は自身の関心に応じて3つの講座より1つの講座を受講しました。いずれの講座でも、探究的な実践--問うこと/考え抜くこと/対話すること/表現すること--は、特別なものでなく、日常生活に根づき、私たちの生活を豊かに、新たにする重要な実践であるというメッセージをお伝え頂いたように感じています。

以下では当日の各講座の様子の一部をお伝えします。

(1)人文科学「〈哲学する〉ことのすすめ」寺田俊郎先生[上智大学文学部教授]

寺田先生は、カントの実践哲学を中心とした倫理学・哲学の研究者であると同時に、これまで精力的に子どもや市民と共に〈哲学する〉ことの実践と普及に取り組んでこられました。当日は〈哲学する〉ことが、決して特別で、難しいことではなく、どのような場所からでも/どのような問いからでも始めることができる活動であること、そして、そのような「当たり前」を問い直す対話の実践--〈哲学する〉こと--こそが、現代社会において切実に必要とされる実践であると同時に、私たち自身を自由にする、民主主義の基盤となる実践であることをお話し頂きました。

終了後には何人もの生徒が意見交換に訪れ、さっそく哲学対話(〈哲学する〉ことの実践)を始めてみたいと笑顔で語ってくれた生徒もいたことが、とても印象的でした。

(2)社会科学「生き延びるための社会学」岡原正幸先生[慶應義塾大学 大学院社会学研究科委員長・文学部教授]


岡原先生は、社会学者として、長年に渡り、障がいがあるとされるひとの自立運動に関わる研究に携わってこられたこと、また当事者をエンパワーする実践や、キャンパス内外における「居場所づくり」の取り組みなどのご経験をふまえ、社会の不合理や不便益に対する私たちの〈欲望〉を丹念に見つめ直すことから、社会の構造や成立、あるいはステレオタイプをみつけることができること、そして〈欲望〉を断念せずに、他者と協働しながら、改善するための活動に取り組むことで、実際に社会を変えることが可能だと考えられることなどをお話し頂きました。

「自分自身が不自由に感じたこと、生きづらさを感じていることこそが、社会を変えていくための起点になりうるのだ」という先生のメッセージは、参加した生徒の多くに「生き延びる」ための勇気を与えてくれたように感じています。こちらでも、終了後には何人もの生徒が意見交換に訪れ、これまで以上に社会学という学問分野へ関心を高めた生徒も少なくない様子でした。(写真は7教室を結んでライブ配信をして講座を実施したうちの1教室の様子です)

(3)自然科学「ウェルビーイングと物流におけるラストワンマイル」森下穂香先生[東京都市大学理工学部助手]


森下先生は、工学の立場から物流サービスの改善を取り上げ、科学技術が単独で存在するものではなく、ひとびとの生活と実際に結びついたものであること、また技術を通じて人々のウェルビーイングを実現できる可能性があることをお話し下さいました。また、今後に渡り、自然科学分野においても「もの作り」だけでなく「こと作り」の実践が重要になっていくという指摘には、参加した生徒の多くが刺激を受け取ったようでした。(写真は4教室を結んでライブ配信をして講座を実施したうちの1教室の様子です)

本校では、「探究」に関して安易に課題を解決に結びつける姿勢や短期的な成果を求める姿勢ではなく、高校3年間を通じて、自分自身の問いと出会い、問いを深める姿勢を大切にしています。また、キリスト教学校として、これからも変化し続ける現代社会にあっても常に普遍をまなざし、探究の実践と「敬神愛人」の精神を体現する--謙虚さを失うことなく、他者と共に他者のために協働する--生徒を育てることを目指してまいります。

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