青山学院学問入門講座

青山学院学問入門講座

2025年度実施 青山学院大学 学問入門講座(抜粋) 講義内容

講座名・内容

講 師

ヴォルテール『カンディード』を読む:哲学的コントと啓蒙思想

 十八世紀のフランスでは、旧社会(アンシャン・レジーム)の様々な偏見や不平等を問い直し、理性に基づいた人間精神と社会の進歩を目指す、いわゆる啓蒙思想が広く浸透し、世論に大きな影響を与えた。書物に対する厳しい検閲が行われた当時は、文学(文芸)も単なる娯楽に留まらず、啓蒙思想を譬え話や寓話の形で表現する役割も担った。架空のフィクションであれば、検閲のリスクを避けながら、本来難しい思想を一般読者にも分かり易く表現し、啓蒙思想の社会的普及を図ることができるのも大きな理由であった。 本講義では、そうした啓蒙思想を物語の形で表現した哲学的コントの傑作のひとつとして知られるヴォルテールの『カンディード』を日本語で読み解く。そして、世界はこの上なく最善であるという、いわゆる最善説を批判し、戦争や金銭欲など様々な悪や苦しみに満ちたこの世界でまともに生きるにはどうすればよいのかを主人公カンディードの冒険を通じて読者に問いかけるヴォルテールの思想が、いかに現代社会に置き換えても通用する深いメッセージに満ちているかを受講生の皆さんと一緒に見届けたい。
文学部
フランス文学科

教授 井田  尚 先生

「法学を学ぶとは」


 「法学部がなぜ人気がないのか?」を手掛かりに、「法学」という学問分野に対して皆さんが抱きがちな誤解(難しい、暗記ばかり、法曹と公務員に進む人にしか役に立たない)を解消していきたいと思います。その過程で、法学を学ぶということがどういうことなのか、法学を大学で学ぶことで皆さんが社会に出たあとにどのように役に立つのかをお示ししながら、「法学」という学問分野がどういうものなのか、説明していきたいと思っています。

法学部
法学科

教授 細川  良 先生

マーケティングにおけるデータ分析

 2000年代に入ってから、情報処理技術が発展したことによって、企業におけるマーケティング活動ではさまざまなデータが容易に取得できるようになりました。特にここ数年「ビッグデータ」という言葉が流行したように,企業では消費者や顧客の様々な活動に関するデータの取得がなされています。そして企業ではこれらのデータに基づいたマーケティング活動を行うことが必要不可欠になっています。  そこで本講義では、企業がどういうデータを取得して,どういう活用をしているのか、具体的な例を示しながら講義を進めていきます。(例えばポイントカードはどういうデータが集められていて、企業はどういう活用をしているでしょうか?アンケート調査はどう活用されているのでしょうか?)特に高校の数学IやBで学習する統計の内容に触れながら、可能であれば実習を通してデータ分析の一端を教えていきたいと考えています。

経営学部
マーケティング学科

教授 横山  暁 先生

経営工学とIE/研究事例「青学サッカー部における分析シート作成支援システムの開発」

 経営工学のIE(Industrial Engineering)や品質管理などは日本のものづくりの現場に大きく貢献してきた.IEとは人・もの・お金・情報を含むシステムの仕事の生産性を向上させる改善活動および問題解決活動のことであり,人が改善マインドを身につけて育つことである。改善の哲学として一般的に知られている言葉に、”There is always a better way.(ものごとには必ずよりよいやり方がある)”があり、改善には終わりがないのである。当研究室では現場のIEをベースにして,ものづくりのための改善技術と教育システムの開発に関する研究を進めており、これらの事例の概要を紹介する。 大学4年次の必修科目である卒業研究の具体的事例として、「青学サッカー部における分析シート作成支援システムの開発」を紹介する。現代サッカーでは、データによる戦術の分析が活発化しており、青学サッカー部でも分析活動を強化している。この研究では、青学サッカー部における分析活動の課題から、スカウティングシート作成支援システムⅠと手書きのタイムアドレスシートを合わせた新たな分析シートを設計し、パソコンにより分析シート作成支援システムを開発している。

理工学部
経営システム工学科

教授 松本 俊之 先生

重力波天文学の幕開け

 2017年8月17日に検出された重力波イベントは中性子星同士の合体によって発生し、このイベントの宇宙そして地上からの観測により初めて重力波イベントからの光の検出に成功しました。重力波に伴った光の観測から、今までの光だけによる観測では難しかった、ガンマ線バーストの起源に迫れ、また、重たい重元素の生成現場なども見えてきました。これは、重力波天文学の幕開けを意味します。重力波を用いた天文学がもたらした最新の宇宙像、そして、新たな可能性などについて講義します。

理工学部
物理科学科

教授 坂本 貴紀 先生

国際政治経済学・入門:2大思想潮流の視点から

 2期目をスタートさせたアメリカのドナルド・トランプ政権は矢継ぎ早に関税引上げを打ち出している。その動きは,第二次世界大戦後の国際秩序の基本的な路線,すなわち自由貿易による平和と繁栄という考え方と真っ向から反するものである。なぜアメリカはそうした行動をとるにいたったのか。さまざまなアプローチがありうるが,本講義ではアダム・スミスに代表されるリベラリズムとフリードリヒ・リストに代表される新重商主義の間の思想的対立の観点から読み解くことを試みる。

国際政治経済学部
国際政治学科

教授 和田 洋典 先生

デザインが社会を変える

 かつて高校の「美術」教科書で「絵画」の下位区分,つまり文字の入った絵画、ポスターなどとして扱われてきた「デザイン」は、今や経済産業省が推し進めたり、法学や行動心理学や教育学に取り入れられたりしています(大学に入ると就職室に「キャリアデザイン」、家庭を持つと保険会社に「ライフデザイン」の話をされるでしょうし、ついに「終活デザイン」という表現も登場しましたが、その話はおいといて……)。「デザイン」の賞も、ものづくりにかかわるメーカーだけでなく、教科書にも学校の教育プログラムにも、銀行にもまちづくりにも与えられています。高校の「美術」教科書もだいぶ内容が変わってきましたが、芸術大学・美術大学に行かなくても出会うことになる「デザイン」をどう理解し、この先「デザイン」とどう付き合っていけばよいでしょう? そもそも「デザイン」って何だったっけ、今みんなが何を「デザイン」に期待しているのか、その先に何があるのか、考えていきましょう。

総合文化政策学部
 

准教授 天内 大樹 先生

ピクトグラム ~世の中にあふれるステキな情報~

 先に開催された2020東京オリンピック開会式では、競技ピクトグラムを紹介するパフォーマンスが話題を呼び、それをきっかけに「ピクトグラム」という単語が広く認知されるとともに、様々な文脈で注目されるようになりました。本講義ではピクトグラムを題材に学際的視点から講義をします。講義の前半では、日本や世界のピクトグラムを紹介し、その文化的背景、ユニバーサルデザインや情報表現に関して学びます。講義の後半では、私の研究成果の一つである、ピクトグラム作成環境とプログラミング学習環境の両方の側面をもつWebアプリケーションを紹介します。実際にアプリケーションを使っていただき、情報を正しく伝える難しさや大切さを体験します。

社会情報学部
 

教授 伊藤 一成 先生

経営戦略とは何か?

 本授業では、「経営戦略とは何か?」をテーマに、企業が市場の中で何を考え、どのように活動しているのかを学びます。 私たちの身の回りには、さまざまな商品やサービスがありますが、それらを提供する企業は、どのように利益を生み出しているのでしょうか?この授業では、まず「商売とは何か?」を考えながら、企業が利益を得る仕組みを理解します。その上で、企業が長期的に成功するためのポイントを、実際の企業事例を交えて学んでいきます。私たちは普段、意識せずに商品やサービスを選び、購入していますが、その背後には企 業のさまざまな戦略があります。それらを学ぶことで、ビジネスの仕組みをより深く理解できるようになります。 普段利用するお店や商品がどのような戦略をとっているのか? 価格設定やサービスの 違いにはどんな意味があるのか?そうした視点を持つことで、身の回りのビジネスが、これまでとは違った角度から見えてくるかもしれません。

社会情報学部
 

准教授 勝村 史昭 先生