青山学院学問入門講座

青山学院学問入門講座

2022年度実施 青山学院大学 学問入門講座(抜粋) 講義内容

講座名・内容

講 師

カナダのフランス語圏について -ケベック州を中心に-

 フランス語が話されるのはフランスだけではなく、他のヨーロッパの国々や、アフリカ、そして北アメリカにもフランス語が話される国・地域があります。本講義では、北米大陸のフランス語圏の一つであるカナダのケベック州を取り上げます。  カナダは英語とフランス語を公用語としており、総人口の約2割がフランス語を母語としています。カナダのフランス語話者の多くはフランス語を唯一の州公用語とするケベック州に居住していて、ケベック州に住む人々の約8割がフランス語を母語として話しています(2割の人々にとっては他の言語が母語です)。北米という英語環境の中にありながら、ケベックの地でフランス語が話され続けているのには、様々な理由があります。  講義では、なぜカナダで、そしてケベック州でフランス語が話されているのか(ケベック州の歴史)、どのような政策によってフランス語が維持されているのか(ケベック州の言語状況と言語政策)、そしてケベック州で話されるフランス語の特徴について学びます。
文学部
フランス文学科

准教授 近藤 野里 先生

日本語教育を学ぶ −ことば・文化・共生 −


 日本語教育とは、日本語を第一言語としない方々への教育のことですが、グローバル化の進展と日本のさらなる国際化の中で、⽇本語教育の意義や役割はますます⾼まっています。みなさんも普段の生活の中で例えば「やさしい日本語」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。本講座では、国内における多⽂化共⽣社会の実現に向けた日本語教育の取り組みや、国外における、⽇本と諸外国との関係深化・相互理解のための日本語教育をご紹介しながら、教授法や教材、歴史などにも目を向けた解説を行い、「ことば・文化・共生」の観点から日本語教育への理解を深めます。

文学部
日本文学科

教授 田中 祐輔 先生

元祖 “ドレミの歌” とJ.S.バッハの《インヴェンション》

1時限:楽譜を読む時なんの疑問もなく使っているドレミとは何か、いつ誰がどうして使い出したのかをお話しし、音楽史を理論的に学ぶ意義と面白さを伝えます。 2時限:バロック音楽の巨匠J.S.バッハの《インヴェンション》のさまざまな楽譜と自筆譜とを比較して、歴史的な史料を扱う際の問題意識を養います。

文学部
比較芸術学科

教授 那須 輝彦 先生

心理学でウソは見破れる?:脳や身体から見る心

 心理学というと,カウンセリングやセラピストを思い浮かべる人が多いと思います。でも,それだけではありません。心理学には脳活動や身体内部の変化を測って実験する心理生理学という分野もあり,犯罪捜査や製品評価,ストレスや感情の検出などに活用されています。本講義では,とくに心理生理学と「ウソの検出」の話題を中心に,生体信号を測ることで見えてくる心について話したいと思います。

教育人間科学部
心理学科

准教授 松田 いづみ 先生

グローバル経済の分析〜比較優位〜

 イギリスの経済学者デヴィッド・リカードはロンドンの証券取引所で株式仲買人として活躍し、巨額の富を築きました。『経済学及び課税の諸原理』において、比較優位の概念を示し、自由貿易の利益を明らかにしました。さらに、代議士として、自由貿易を推進する立場から、穀物法の廃止を主張しました。貿易論のみならず、経済学全体の基礎を築いた経済学者です。  リカードが200年前に築いた比較優位論はいまなお経済学の重要な理論であり続けています。ポール・サミュエルソン(1970年ノーベル経済学賞受賞)が数学者のスタニスワフ・ウラムに「真理であり、かつ自明でない社会科学の定理を、ひとつ教えてくれ」と尋ねられ、熟考ののちにそのようなものとして「リカードの比較優位」があるという結論に至ったという逸話があります。本講義では、グローバル経済を理解する上で基礎となる比較優位論を平易に解説します。

経済学部
現代経済デザイン学科

准教授 田中 鮎夢 先生

商品開発を通じて企業行動の仕組みを理解する

 青山学院大学経営学部の学生が実際に商品開発した「青学ランチパック」、「青学nanacoカード」、「別府の湯の花を使った入浴剤」「学食メニュー 青山麺列伝」などを紹介するなかで企業の商品開発がどのようなプロセスで行われているかを説明するとともに、資金調達,原材料の入手,売上やコスト,マーケティングなどの企業行動の仕組みについて考えていきます。その後、「“新”青学ランチパック」をグループで企画し、そのアイデアをプレゼンテーションしてもらいます。

経営学部
経営学科

教授 高橋 邦丸 先生

微生物に学ぶ生命の不思議 〜知られざる遺伝子機能の探索

 肉眼では見えない小さな生き物のことを“微生物”と呼びます。乳酸菌、納豆菌、酵母菌、これらは私たちの食を支える大切な微生物です。一方、大腸菌O157や腸炎ビブリオ菌など、食中毒を引き起こす怖い微生物も存在します。私の研究室では、“酵母菌”を実験材料として、生き物が周囲の環境変化やストレスにどのように適応し、命をつないでいるのかを分子レベルで解き明かそうとしています。  酵母菌はパンやお酒造りでよく知られていますが、基礎研究でも非常に重要な役割を果たしています。直径わずか200分の1ミリしかないのに、われわれ人間とほぼ同等の細胞機能を有しています。酵母ゲノムには約6,600個の遺伝子が存在しますが、うち700個余りは機能が特定されていない謎の遺伝子です。私たちはそこに、深海底のような高水圧と低温にさらされた極限環境で生き延びるために不可欠な遺伝子群を発見しました。うちいくつかは類似する遺伝子がヒトにも存在しており、それらが変異すると病気を引き起こすこともわかってきました。本講義では、酵母菌に学ぶ生命現象の不思議、そしていったいどうやって謎の遺伝子機能を解明したのかについてお話しします。  また、私自身が高校、大学時代に何を思いどんなことをやってきたのか、海洋研究開発機構(JAMSTEC)時代に行った深海微生物の研究でわかったこと、そして青山学院大学で教育と研究に従事する現在までを、いろいろなエピソードを交えてお話しできたらと思っています。

理工学部
化学・生命科学科

教授 阿部 文快 先生

どうなる未来のコンピュータ?〜人とコンピュータの新たな関係

 IoTや人工知能、バーチャルリアリティなど、コンピュータ関連技術の新しいサービスや研究成果などをニュースで聞かない日はない。さらにスマホやタブレットなど、コンピュータを日常生活の一部として使うことは当たり前になってきた。  本入門講座では、コンピュ。ータと人との関係がその黎明期からどのように変化してきたか、さらに現在の最新研究の紹介を通じて、今後、どのように変化していくのかを学ぶ。

理工学部
情報テクノロジー学科

教授 伊藤 雄一 先生

欧州統合の始まり、展開、そして危機

 EU(欧州連合)は前身の EC (欧州共同体)の時代から、敵対的な国家間関係を協調的なものへと転換させる重要な舞台となってきた。第 2 次世界大戦の時に敵として戦った(西)ドイツとフランスなどは1950 年代以降の欧州統合の進展とともに、互いに手を取り合うようになり、また、冷戦時代に対峙していて西欧諸国と中・東欧諸国の多くも、 2000 年代以降にEUに入り、共存を目指すこととなった。  この講義では、欧州統合のこれまでの史的な展開をたどりつつ、かつては敵対していた。  国々の間で、なぜ飛躍的に統合が進むことができたのか、これまでの研究の動向を紹介する。その上で、過去 10 数年の間に発生した様々な危機(ユーロ危機、難民・移民危機、イギリスの EU 離脱、新型コロナウイルスの問題など)を受けて、今後の欧州統合の動きがどうなっていくのかを考えたい。

国際政治経済学部
国際政治学科

准教授 武田  健 先生